今回は、教養としての美術鑑賞についてお話したいと思います。

美術を知ることで教養が身に付く、というのはなんとなくご想像できるかと思うんですが、それがなぜなのかという理由と、じゃあその教養を何に活かせるのか?ビジネスや実生活で活きてくるのはなぜか?というような話をしたいと思います。

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美術鑑賞で教養が身に付く理由

美術作品を鑑賞するには、教養や前提知識が必要になります。絵には時代背景や地域性や社会事情が必ず反映されているので、そこを理解できると美術鑑賞はすごく凄く面白くなっていくんですね。例えば今の街の風景を写真で撮ったら、マスクだらけのはずです。それを何世紀も後の誰かが見たときに「コロナが流行ったからなあ」という社会背景を加味して見ると思う、みたいな感じです。ただの風邪かな?と思うか、社会現象と思えるかで写真の見え方が違ってくるはずです。

世の中すべてのものに時代や文化の影響は反映されています。そして絵画に関しては、その影響をギュギュっと凝縮して描いているというものが多いです。そのため、前提知識=教養を持って絵画を見なければ面白くありません。

もちろん全部の絵画のウィキペディアを暗記してから作品を観ろ!ということではなくて、1つでも絵画をまず観て、気になったことをググったり解説文を読んだりして、次の絵を見たときにそれが「あーだからかー」となったりして、その繰り返しで身についていくものです。断言してもいいですが、美術鑑賞を趣味にしたらある程度の教養は必ず身に付きます。

ちなみに、綺麗だ~凄いな~という感性で見る美術鑑賞も本域ではあるかと思うんですが、よく「こんなん幼稚園児でも書けるよ」と言われるような単純な絵画が何億円!ってなってる話とか聞きませんか?それって何億円も値がつく理由があるからなんです。そこがわかると見ていて感動できる絵が抜群に増えますから、感性と教養、両方を育てていけるのが美術鑑賞なのかなと思います。

美術鑑賞を極めていくと感性モードと教養モードと分けられるようになるらしいです…!!

美術作品の読み解き方

では美術作品を教養で読み解くってどういうことなのか、以前も取り上げたフェルメールを例にとってお話します。

フェルメール『手紙を書く女』

フェルメールの絵画で手紙を描く女という絵があります。これを見て、まず「手紙っていつからあるんだろう?」って思いませんか?絵画で電話や鉄道が描いてある時もそうです、技術に対してあれ?これってここでもうできてるんだ?的な気持ちが湧くんですね。フェルメールは17世紀オランダバロックの画家です。この当時本当に手紙の文化が生まれ、流行っていました。なぜ発達したのかを読み解いていきます。

当時のヨーロッパは、それまでキリスト教のカトリックが支配していました。そこに、プロテスタントという対抗勢力が出てきます。これが宗教改革です。カトリックは教会関係の人が聖書を読み、市民には絵画や口コミで布教をしていました。そこにプロテスタントが現れて、「それって本当に神が言ってたの?」「教会が儲けたくてそんなこと言ってるんじゃないの?」と言い始めます。そしてプロテスタントは、元ネタである聖書を重視していくようになります。そのためプロテスタントの上流階級たちは聖書を読む必要性が出て来て、識字率が上がりました。

オランダはプロテスタントのカルヴァン派の国ですから、このフェルメールの絵画のあたりの時代では識字率がバンッと上がったころだったんですね。識字率が上がると、まず商業の取引などで紙を使うようになり、郵便制度が発達していきます。そして一般市民もラブレターなどの手紙を書くような文化が流行るようになりました。

ここまでの流れが1枚の絵のなかにギュギュッと盛り込まれています。どの話も知らなくても解説を読めば「バロック時代は宗教改革の頃」「カトリックとプロテスタントの考え方の違い」「オランダはプロテスタント(カルヴァン派)の国」「聖書を読むために識字率が上がった」「17世紀に手紙ができた」などなどの教養に当たるような知識が身に付くことになります。

そして、これを繰り返していくことで大体のヨーロッパの地図・文化・民族・宗教の違いを理解できるようになると思います。そして各国の歴史を縦軸で見て、その後、各縦軸を横で繋げていくという作業が頭の中でできるようになります。フェルメールの話で言うと繁栄を極めたオランダバロックの時代は大航海時代の後ですから、日本にもオランダの波が来て日本には「蘭学」という形でその影響が現れます。江戸時代に西洋の医学などが入ってきた話ですね。そうやってあらゆる知識をガチャガチャっと関連させていけるようになることが、「教養を身に付ける」ということだと思います。そして面白いところです。

(フェルメールを読み解く時代背景についてはこちらの動画で詳しくご説明しています!気になった方は是非~♡)

時代を読み解く力は応用できる

そして、絵画で教養を身に付けた場合、私は「教養」それ自体よりもその考え方に価値があると思っています。時代を読み解く力になるような、教養の過程ですね。それは実生活やビジネスに応用できるものだと思います。

フェルメールの絵で言うと、宗教改革→聖書重視→識字率向上→郵便制度発達→手紙流行、みたいな流れです。その、なぜ?と理由を常に考える力というか、時代の現象を理由づけして考えていく力というのは、あらゆるものに応用できます。

例えば最近で言うと、コロナですね。コロナが流行して、ステイホームになって、在宅グッズの椅子や机が売れました。そういった、何が時代に求められているか予測できる力はとても大切です。コロナの影響をビジネス面で考えた人はたくさんいたんじゃないでしょうか。

数字としてはわかりませんが、今後ジム付きの不動産が増えたり、コインランドリーが消滅したりするかもしれません。そういう、一歩先を読む力はビジネスで発揮されると思いますし、実生活で言うと…株を買ったり、高騰する前に手に入れたりできると思います。未来が見えたら単純に楽しいですし、街を歩いていて「あー最近この企業の店舗やっぱ増えてるな」とか考えるのも面白いです。

「教養のための絵画」みたいな本に書いてあるメリットは、外国の人と取引をする上で美術のリテラシーがないと会話が弾まないよという文脈だったりします。まあもちろんそれもあるとは思うんですが、英語をペラペラ話し外国の方と会食を重ねるような人でないとその能力は発揮されないので、正直局所的だなあと思います。ですが、この「時代を読み解く力」だったり「美術鑑賞で培う考え方」については、生活全般で応用できるのではないでしょうか。

美術とお金の話

ここまでが本筋の話なんですが、おまけで「美術ってなんで高いの?」というお金の話を書きたいと思います。

幼稚園児でも描ける!と言われるような絵画が何億円で取引された、とかってニュースになることがあると思うんですが、それを聞いて「凄いコレクターがいるんだな」「ものすごく美しい絵画なんだろうな」と思うかもしれません。もちろんその要素はあると思いますが、億だったりの大きいお金が動く場合はそれが「儲かる」と踏んでいるのではないかと思います。

つまり、高い絵画を買うということは一種の資産運用なんですよね。そのため、美術を趣味にすると、大きいお金を動かす流れを大局で見る機会にもなります。美術鑑賞の趣味とは少し離れますが、美術を趣味にしてる人って不動産投資とかにも詳しかったりするんですよ本当に。なので、そういったマネーリテラシーなど、そういう勉強をしていきたいという方は美術作品のニュースについても一読していただけると面白いのかなと思います。

美術品の資産運用について、例えばの話をします。レオナルドダヴィンチの絵を例にとると、ダヴィンチの絵が今後「意味ないよね、紙くず同然だよ」となることはまあ予測できないのかなと思います。そしてダヴィンチはもう亡くなっているので、ダヴィンチ作というブランドの絵画が今後量産され供給過多になることは考えられません。さらにダヴィンチに代わる素晴らしい画家が出て来たとしても、「歴史的に素晴らしい」という昔の現象は今どうやったって覆らないわけです。

そのため、過去の絵画で既に素晴らしいと評価されているものは価値が下がりにくいと言われています。

具体的に言うと、世界のオークションに出ている絵画は年に8%価値が上がると言われているんです。不動産投資よりもすごく堅い投資だと思いませんか?

もちろん絵画を欲している人がいないといけないので、戦争が起こったり文化大革命みたいなことが起こったりしたら常に価値が上がるかは保障できません。ただ、最近上昇トレンドであるということは断言できます。日本のバブルの時代に印象派の絵画をいろんな企業がたくさん買っていますが、どれもめちゃくちゃ値が上がっているそうです。

「そんな大きい話、他人事だよ」と思うかもしれません。でも、絵画って1万円とかから買えるんですよ。近い時代で言うと村上隆さんや草間彌生さんの作品だって、最初は評価されていなかったわけですからね。今後伸びていきそうな美術家の作品を買うことだって投資だと思います。

そして私が買うなら…女性画家が今後何十年関になると特集されたりするかもしれないなあなんて思いますね。夫婦別姓とかしてたら話題になるかもしれません。「この絵が好き」「作者の作風が好き」という理由で絵を買うのももちろん正しい王道なんですが、少しこの「今後価値が上がるかどうか」を考えるのも面白いひとつなのかなと思います。

という、教養やお金にまつわる美術の話でした!終わります!!

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