2021年1月9日、東京国立近代美術館、『眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』

眠り展感想

心に残った美メモ

メインビジュアルになっているペーテル・パウル・ルーベンスの『眠る二人の子供』です。とっても個人的な理由で思い入れができたので後述します!

戦利品

『眠る二人の子供』の栞を記念に買いました。と、常設展にある古賀春江の『海』のグッズが可愛くて買ってしまいました。眼鏡拭きです。女性だけ抜き出してるのが自分のイラストと失礼ながらシンパシーを感じて…♡

眠り展グッズ

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レポ日記

『眠り展』に行ってまいりました!11月からやっている展示会なので後半にもう差し掛かっちゃってますね…2月下旬までなので見てない方はお早めに!!ということで、私は新年1発目の美術館です!清々しい晴天でした!

眠り展は、日本の国立美術館が持つ作品を「眠り」というキーワードで集めた展示会です。

眠り展のカーテン

内容なんですが、ぶっちゃけまだ行ってない人は解説を見ないで行った方が面白い!と思います!なのでこのブログは残念ながら閉じていただいて、終わってから見ていただくのがいいのかなーと思いました。

というのも、「眠り」をただ寝るといった意味だけでなくいろんな解釈で感じていく展示会なんです。その解釈の内容は展示会の各章ごとにしっかり説明されているので、それを現地で読みながら作品を見ていく方が納得感があって面白いのかなと思います。

で、ネタバレするとその「眠り」の解釈は、展示会内の各章タイトルに集約されています。

①夢かうつつか ②生のかなしみ ③私はただ眠っているわけではない ④目覚めを待つ ⑤存在の証しとしての眠り となってます。

寝るという意味での眠りに始まり、夢や無意識、そして死という眠りとその反対である生きること、眠ったままで目覚めを待っていること、眠って起きるという繰り返しが生きるということ、自分が存在するということ…みたいな感じで「眠り」の意味は広がっていきます。

まずは今回の展示会だけじゃなくても作品を見るときには、パッと見ではわからない作品の奥に隠された解釈を読み取ろうとか解説を読もうとかすると思うんですよね。そして今回の場合はその先に、通常の解釈ともう1段階掘り下げて「眠り」という視点から考えてみる、という展示でした。1つ1つの作品の意味が倍増する感じです。作品に没入して「人生の意味とは」的な哲学トリップを愛する人向けだと思いました。

続いて、目玉作品の感想を少し。

これはめちゃくちゃに個人的な感想(個人的じゃない感想なんてないけど)なんですが、ルーベンスが今の自分にバッチリくる作品だったので凄く心に残りました!

ルーベンスの絵はお兄さんの子供2人がモデルで、1歳と2歳の年子だそう。で、私が今第2子を妊娠中でして、第1子との年の差が2歳弱くらいになる予定なんです。

そのため、このルーベンスの作品みたいなシーンが自分の家にも訪れるのかなとか、この零れ落ちそうなほっぺたや突き出た唇が2倍になるのかとか、そういう実感が湧いて自分のライフステージを代表するような1枚に感じました!

作品自体は国立西洋美術館所蔵なので常設展で何度か見かけたことはあったんですが、ここまで注目して見たことはなかったです。額縁も違うし光の当たり方とかも違うし自分は妊娠してるしで、今までと全く違った絵のように感じました。いや~よかった。超個人的感想です。

次に、ゴヤの版画集『ロス・カプリチョス』もよかったです。この版画集から抜粋された作品たちが各章の冒頭に必ずあり、ゴヤを案内役として「眠り」の世界に入っていくような会場構成になってます。なのでメインどころの作品ですね。その中でも1番最初の案内人「理性の眠りは怪物を生む」が素晴らしかったなあ。

理性が眠っている間に人間の悪い行いや欲望を模した夜の生き物たちがざわめきだすというシーンで、人間の性分に対する批評?なのかな?と思います。でも、夜の生き物たちがあまりに魅力的でイキイキと描かれているので、怪物の方にもリスペクトというか憧れみたいなものがあるのかなと感じたり…。

理性は眠っていて表情は見えないんですがこの男性はゴヤ本人なのではと言われていて、なんとなく全身の感じから「憂鬱」なオーラを感じました。ただ眠っているだけとか健やかな夢を見ているという感じではなく…怪物にペン差し出されてますし、「芸術家だろ!描け!!」みたいなプレッシャーを感じてる時期なのかなとか。全く真偽はわかりませんが絵の前で妄想が捗りました。白黒繋がりという単純な理由から、デューラーのメランコリーⅠを重ねてみたりしました。

あともう1つ、これは作品の感想とは違うんですけど、河原温という方の作品の章があったんですね。河原温は毎日日付をキャンヴァスに描いたりだとか、毎朝起きた時間を手紙に書いて知人に送ったりだとか、そういう存在の証明みたいなことを積み重ねて概念芸術の第一人者となった人です。たぶん。

なるほどわからんなーと思って見ていたんですが、毎朝起きた時間を送っていた相手が奈良原一高という写真家宛てだったので「おおお!知ってる!」と思って興奮しました。

奈良原一高は去年、個展を2つやっていたりこの東京国立近代美術館でも1つブースが設けられていたりした写真家の人です。最初は「毎日毎日ずーっと知人の起きた時間が手紙で送られてきたらノイローゼになりそうだな」と思ってたんですが、奈良原一高は河原温と交流があったばかりか月賦で作品を買ったりしていたそうなので、河原温の概念芸術の一端を担えることを単純に嬉しく思ってたんじゃないのかなーと思いました。妄想ですけど面白かったです。作家同士の交流とかってよくわかってないですけど裏話的なワクワク感がありますよね。

と、ここまでで展示会自体の感想はおしまいです!

そして後日談。

冒頭にお話ししたように、今回の展示会って「眠り」のいろんな解釈から作品を関連づけていく、日本語の妙にフォーカスした企画だなと思ったんですよね。「押入れに眠ったままの本」という意味での「眠り」は特に、日本語独特の言い回しなのかなーとか。いや英語でも言うのかもしれませんが。

そうすると海外で「眠り」と聞いて連想するのは何かなと思い、やはりキリスト教圏ではキリスト教のイメージと切っても切り離せないんじゃないかなと思いました。眠りからのイエス復活、とか。旧約聖書のエピソードでも眠っているときに天使からお告げがあって…とかすごくシーンとしては多いんですよね。そう考えるとギリシャ神話も多そうだなとか、仏教なら瞑想とか涅槃とか想像するのかなとか。

宗教と眠りの関係について考えると、また別の解釈が広がっていくのが面白いなと思いました。

そして、宗教画に限定せずじゃあ西洋美術全般なら「眠り」に関連する作品って何があるかな?と考えたんですよ。これがめちゃくちゃ面白くて…たくさんあるんですが例えばジョルジョーネの眠れるヴィーナス、フュースリの夢魔、ルソーの眠るジプシー、ブリューゲルの怠け者の天国…とか。

これらの作品をぽんぽんと関連づけて思い返すことっていままでなかったので、この企画展の「眠り」という切り口の面白さを再確認しました。そしてこれまでは「寝そべってるなあ」と思っていただけの絵に対しても、今回いろんな解釈を展示会で考えたように「死の暗示なのかなあ」とか「目覚めを待ってるのかなあ」とか、これまで思いもしなかったような解釈を考えることができて、非常に面白かったです。そういう意味で持ち帰るものの多い展示会でした!

という感じで!!終わります!!!

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