2020年9月28日、森美術館、『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』

『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』見出し

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現代美術入門と称して 『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』 の感想をお話ししています。この記事と内容は同じです。前後編あります。

戦利品

宮島達男『時の海-東北』プロジェクトの缶バッチ。1つ1つ微妙に柄が違ってて可愛い。

宮島達男「時の海」缶バッチ

心に残った美メモ

戦利品と同じく、時の海が凄かった。

レポ日記

六本木・森美術館で開催中のSTARS展に行ってきました。子供は夫に預けて一人参戦です。平日昼間だからかかなり空いていました。子供を連れてきても大丈夫だったかも?デートで話しながらってお客さんも多かったので。砂利を敷いた部屋があるから抱っこひもならいけたのかなと思いました(未確認。

STARS展感想1

で、STARS展です。いやー超スターが集まってますね。日本から世界へ羽ばたいて活躍している現代美術家たち6人を扱った展示会です。6人は、村上隆さん。李禹煥さん、草間彌生さん、宮島達男さん、奈良美智さん、杉本博司さんです。

現代美術の面白さ

まず最初に、現代美術を見る楽しさについてお話します。現代美術ってよくわからない・面白くない、という人にもぜひ見てもらいたいなと思ってまして。

現代美術の楽しさって、私はライブ感だと思うんですよ。

よくわからないと思うのは当たり前で、いいかわるいか現代に生きる私達では判断しようがないからです。戦時中の価値観である、天皇バンザイ!戦争バンザイ!がおかしいと思うのも、当時の価値観ではおかしいとわからなかった。100年後は今私達の価値観が全否定されてるかもしれない。だからこそ今、ある作品を見て私達がこれはよくわからないとか好きだとか嫌いだという気持ちを持つこと自体に意味があると思うんです。

ゴッホやモネのような有名な画家や絵画でも「当時は受け入れられなかった」「強い批判を受けた」みたいな解説がされるんですけど、その「強い批判をする人」になれるのは今しかないわけです。

たぶん、少年ジャンプを雑誌で読んでいる人はわかると思います。完結してから読んでもいい、単行本で読んでもいい、でも毎週雑誌で読むライブ感、アンケートを出すライブ感を味わいたい!みたいな気持ちです。ドラマを毎週追うのもそうかもしれないですね。

芸術家も私達も、同じ時代を生きていて、その文化や思想が反映された作品をジャッジできる、そのライブ感が非常に面白いところだと思います。

ということで感想をつらつらと書いていきます。写真撮り放題だったのにすっかり忘れてて全然撮らなかったの本気で後悔…うう…。

展示会は、6人の作品を1人1人部屋を分けて展示している構成です。

村上隆

STARS展感想2

一人目は村上隆さん。STARS展の入り口を入ったらどーんと村上さんの作品たちが並んでいます。

これ、本当に村上さんしかありえないなと思える配置で…なぜなら、この展示会は東京オリンピックで観光にきた外国人向けの側面が非常に強いんですね。なので村上さんの作品はまず「日本へようこそ!」となっている。大きな富士山、桜、あうん像が並んでいるわけです。

村上隆さんってドラえもんとかとコラボしてる、ポップな作品だよねというイメージがあると思います。実際そうなんですけど、もっというとベタっと平面で塗ったキャラクターや誇張した表現に「日本人文化」を落とし込んでる人なんですよ。スーパーフラットと呼ぶんですけど。西洋美術でも時々「日本のベタっとした背景や遠近感のない表現、ぶっとい輪郭線に影響を受けた」って出てくるんですけど、西洋の文化に比べると日本人は「漫画」「アニメ」といったようなベタ塗りの絵を江戸時代から愛してきたんですね。

それをもう、外国人に全面にバーンと見せる。日本の絵ってこうだよ!って言う。そのわかりやすさをこの村上隆さんの作品で目の当たりにしました。

展示には代表作であるマイロンサムカウボーイも来ていてですね、非常に面白かったです。

村上隆のマイロンサムカウボーイ

こんなん面白いしかないじゃないですか、全裸の少年からびゅびゅーっと精液が出ているフィギュアです。まずこの細マッチョの少年がまさに日本の漫画的主人公というか、ジャンプの体の線なんですよね。アメコミヒーローはもっとムキムキで成人してますから。で、エロ。このありえない誇張表現。これは17億くらいの値がついてなにかの記録を更新したとかニュースになってましたけど、このあたりの思想が評価されてるのかなあと思いました。私はフィギュアについては明るくないんですけど、造形ももちろん丁寧に作られてるなと思います。どうやって立ってるんだろうとかね、、、崩れないのかなとか。

隣のヒロポンという作品は自分の母乳で縄跳びをしている女の子なんですけど、この子も崩れそうですごいです。そこも技術力があるんだろうなあと思います。

村上隆のHIROPON

李禹煥

次に、李禹煥さんです。

STARS展のこの並びもにくいな〜と思ったんですが、色彩豊かで解釈もわかりやすい村上隆さんの部屋から一転して、静謐で哲学的な李禹煥さんの部屋に入るわけです。ジェットコースター的な強弱ですよね。このへんの空間全体で雰囲気を作り上げられるのも現代美術の特徴だと思います。

李禹煥さんは「もの派」と言われていて、自然にある物体やものを使って作品を作るんだそうです。で、最初の展示はガラスの上に石がどがんっと乗っていて割れてしまっている作品。

STARS展感想3

石とガラス、すごく両極端な存在ですよね。自然と文明、それがぶつかって文明側が割れている。いろんな解釈ができて面白い。次の作品でも石と鉄の棒?が使われてるんですけどこれもその対比で、石と接してる棒は今度少したわんでいる。これも文明側に影響があると。その隣では、接してない石と棒を置いて、関係性があるものとないものを対比させていたり。とにかく李禹煥さんの作品は「対比」なんだなと思って見ることをおすすめします。絵画も、書いてある部分と書いてない部分の対比になっています。

STARS展感想4

私が個人的に考えたのは、対比の間ってなんだろうとか。グラデーションのどこが間だろうとか、文明と自然の間は、石とガラスの間はなんなんだろう、何を表現して模索してるんだろう、という哲学にトべるのがこの部屋でした。

そしてもう1点、床がじゃりになっていてですね、作品の中に入りこんだような感覚になれる部屋なんです。これが次の草間彌生さんの作品を見る上で効いてきたなーと思うので、この感覚を存分に堪能してほしいなと思います。

草間彌生

で、次に草間彌生さんの作品。

草間弥生さんといえば水玉模様や直島のかぼちゃをInstagramなんかで見かけたことがある人は多いんじゃないでしょうか。

草間さんは小さい頃に家庭環境などが原因で幻覚が見えるようになったんですね。それが怖くて仕方がない。河原の石が無限に増えて迫ってくる。それから逃げて家にかけこんで怖さを振り切るように絵にしていくんです。今もう90歳を超えてらっしゃると思うんですけど、ずっと自殺したいような気持ちでこの幻覚と戦いながら作品にし続けている。すごいエネルギーですよね。

なので草間さんの作品を見て、おどろおどろしい幻覚なのかなとまず思う。インフルで寝込んでるときなんか瞼の裏にこういう模様を感じるなーと思うことあります。アリが群がってうごうごしてたらなんか怖くて気持ち悪いなとか。そういう気持ちで作品を見てみる。

STARS展感想5

でも、草間さんの作品ってその怖さを克服するための絵なんですね。描き続けたら親近感が湧いて怖くなくなるんじゃないかという思いで、そのために無限に水玉を描いて、時には自分も水玉にして作品に溶け込ませてしまう。草間さんはこの幻覚と仲良くなろうとしてるんですよね。

そしてそのために一生を費やしてきた。単身アメリカに渡って、裸でアートをしたり国旗を燃やしたり、一心不乱に表現を続けて来た人なんです。精神病院の中にアトリエを構えていたこともあるそうです。その自由に向かう熱量が作品から感じられるのかな、と。

STARS展感想6

一つ前の李禹煥さんの部屋では、作品の中に入れるような部屋でした。で、草間さんの部屋に入る。草間さんからするとこれは展示でなく普段幻覚で見えてる状態なわけですよね。その非現実性をですね、ぜひ本物の前で体感してほしいなと思いました。

STARS展感想6

展示されている柔らかい突起で出来たこのもじゃもじゃのボートなどは、男性器を表してる、、んだったと思います。これも男性やセックスへの恐怖から生まれたもの。写真だとモップ?みたいな可愛らしい感じがするかもしれないんですが、実物を近くで見ると気持ち悪さというか、でろんっとした不気味さがあるのでぜひ本物と対峙して欲しいなと思います。

宮島達男

次に、宮島達男さんの作品。

宮島達男さんは、LEDライトで1~9までの数字を作り、それを使ってあらゆる表現をする方です。

STARS展では時の海という作品があって、部屋一面にたくさんのLEDライトが置いてあってですね、数字が減っていくもの増えるもの、ゆっくりだったりはやかったり、消えっぱなしだったり1~9をまた戻ったりして、人間の命や人生を表している。東日本大震災を忘れないために作られた作品だそうです。このカウントを設定したのは1つ1つ違う一般人の方で、市民参加型の作品というのも面白かったです。展示の方後に全員の名前が描いてあるパネルがあるんですよ。私はスターズ展を通してこの作品が1番心に残りました。缶バッチも買いました。

で、この宮島さんのコンセプトって凄く面白いなーと思っていてですね…なんていうか、モノボケなのかなって。(ボケじゃないですが)

1~9までのライトで何ができるか。何を表現できるか考えるのって凄く面白いです。全く真っ白な中から芸術作品を作るのって難しい途方もない作業ですけど、この縛りを作ってその中で表現するってそれも難しい。でも違った面白さがあるなと思ってます。

ものすごく例えばですけど、何かを表現してみましょうって子供に作らせる授業とか面白そうだなと思いました。私だったら、、例えばカウントの早いライトと遅いライトと比べて、朝の5分の速さを表現するとか。そういう妄想ができて面白いですよね。

奈良美智

次に、奈良美智さんについて。

奈良美智さんの展示は部屋が2つあって、1つは奈良さん自身のコレクションやファンに貰ったものなどが飾られている部屋と、夜をコンセプトにした部屋です。

まず、奈良美智さんの絵柄って言い表せない親近感がありますね。卒業文集みたいな。昔流行ったミツルみたいな。同世代の方はなんとなくわかると思います。それが私、見ててすごく照れてしまうんです。いい意味で洗練されてない空気が、懐かしくも恥ずかしく思ってしまう。ネガティブな意味ではなくて、自分とシンクロして見れる近さが奈良さんの良さだなと思います。

STARS展感想7

あと奈良さんの身体は子供なのに表情や雰囲気が大人びている絵って、海外の方には新鮮らしくって。確かに日本人の方が見た目が幼いので、小学生くらいになっても丸っこい顔の子供らしさがあるじゃないですか。でもしっかり考えは大人に近くなってていろんな表情をする、みたいな。西洋人の顔立ちは小学生にもなると、日本人で言う高校生くらいに見えるので…そのへんのギャップを感じるらしいです。

で、夜をコンセプトにした部屋では、月がモチーフとなっている作品がいくつか飾ってあるんですけど、奈良さんは月が好きらしいんですよね。というか太陽が好きじゃないと。権力や強さを感じさせるからなんだそうです。

なので作品も、ギラギラッ!ピカピカッ!というものではなくて、じんわり光が滲み出てるみたいな穏やかさだったり優しさがありました。

STARS展感想8

杉本博司

最後に、杉本博司さん。

6人の中で唯一写真家の方です。大きいカメラで撮る技術がまず凄いらしくて、そこが世界的に評価されている人ですね。写真に詳しかったら飾られている大判の写真見るだけでも「すっすすすすげえ!!!」ってなるんだろうなあ。超勉強不足ジャンルです。

STARS展感想9

展示会にはまずシロクマという写真があるんですけど、これ、パッと見本物のシロクマに見えるんですよ。実際私もすっかり本物と思いましたが、それを狙った作品らしくて面白かったです。ご本人がアメリカかどっかの博物館でジオラマの偽物シロクマを写真に撮ろうとして、ファインダーを片目で覗いたら、遠近感が失われるからか本物に見えることに気付いたそうなんですね。

それで、わざとジオラマで本物らしく写真を撮るジオラマシリーズを産みだしました。「写真は真実をうつすもの」という固定概念をぶち壊して行こうって作品ですね。面白い~~~!!!絵画だけでなく写真でも、人工的に作り上げたって全然いいわけじゃないですか。奇跡の一瞬を捉えたノンフィクションじゃなくたっていいわけです。面白いなあ。

そして時間の積み重ねや流れを捉えることをコンセプトとしてる方だそうで、レボリューションという写真で表現されていました。海と空が水平線で半分に分かれている写真を縦にしたものです。古代人が見ていた景色を再現しているとか…?うーんなるほどわからん。でも縦長の現像で、掛け軸を意識してるんじゃないかという解説を見て、面白いなあと思いました。絵画でもボナールなんかが掛け軸意識のサイズで描いてますよね。今回はオリンピックを意識した展示ということで日本らしさをそういったところで出した作品が選出されてるのかなあとか思いました。

STARS展感想10

と、いうことで、STARS展の感想でした!終わります!

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