今回は、イギリス王室を舞台にした映画を8本ご紹介していきたいと思います。

イギリス王室を舞台にした映画は、華やかなのにスキャンダラスなので、史実に基づいていてもエンタメ性がめちゃくちゃ高いんですね。美術がどうとか歴史がどうとか勉強のつもりじゃなくても普通に楽しめます!

で、紹介していく前に。先日、上野の森美術館で開催中の「キングアンドクイーン展」に行ってきました。(レポ記事はまた別で書きます!)

KING&QEEN展

歴代の王室の肖像画を堪能できる展示会です。肖像画って「この人がどんな人で何をした人か」がわかってると凄く面白くなるので、この映画を観ておけば間違いないぞ!というところを軸にお話ししていけたらなと思います。

展示会で扱われている500年間の中が舞台の8本です。時代の早い順にご紹介していきますね。ちなみに、全部見たら、メインの3人(ヘンリー8世・エリザベス1世・エリザベス2世)はもちろん、今回の展示で飾られている90作品のうちちょうど半分は「ああこの人ね、知ってる知ってる」ってなれますし、「そのお父さんか~」とか「その子供ね」とか映画に出て来てない人でも掴めるようになるので、1本でも2本でもいいですけどできるだけ多く見ていただくことをお勧めします!

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ブーリン家の姉妹

この映画で出てくる王様は、ヘンリー8世です。主人公はそれをオトすアンブーリンという女性。宮廷内で国王を奪い合うドロドロの愛憎劇ですが、ほぼ歴史通りというのが怖いところです。

このヘンリー8世という王様は6人の女性と結婚し、順番に離婚・処刑・死亡・離婚・処刑・生存、という具合にそれぞれ壮絶な物語があります。この映画では2番目の妻になるアンブーリンが主人公で、最初の妻と3番目の妻と結婚はしてない側室が1人、合計4人で王妃の座を争い、世継ぎを産もうとする話です。とにかくアンブーリンを演じるナタリー・ポートマンが可愛いのと、ストーリー的には申し分なく面白いのでおすすめです。

展示会では全員肖像画が来てますしかなり力を入れている部分かなと思います。ヘンリー8世は世界史の教科書に載っているくらい有名なんですが、それはこの女癖の話が面白いからではなく、歴史的なことをしたからなんですね。

それは、最初の離婚をするにあたってカトリック教会から抜けたことです。当時は宗教改革が起こってそれまでのキリスト教カトリック世界から、対抗勢力となるプロテスタントが登場した時代です。で、カトリックのルールでは離婚がダメですから揉めてしまい、イギリスだけのキリスト教宗派「イギリス国教会」を誕生させてしまうんですよ。ざっくり言うとカトリックとプロテスタントと中間のような教会ですね。

このヘンリー8世の時から今に至るまでイギリスの国の宗教はイギリス国教会ですし、ここからイギリス史は、この宗教問題なしには語れません。カトリックに戻そうとした王が処刑されたりプロテスタントの派閥が権力を握ったり、の繰り返しになるので、それが全てヘンリー8世から始まったと思うと興味深く見られると思います。

エリザベス

先程の『ブーリン家の姉妹』ではエリザベス1世が産まれるくだりまでが描かれていて、この映画はそのエリザベス1世の若い頃から女王として絶対的に君臨するまでが描かれています。

先程説明したようにヘンリー8世から続くカトリックとプロテスタントのバトルが激化している時代です。それに巻き込まれたエリザベス1世は、幽閉されたり王様になったり殺されそうになったり外交したりで波乱万丈の人生を送ります。恋もしつつ。エリザベス1世は初めて長くイギリスを統治した女性の王様ですし、その葛藤だったり苦しみも描かれていて密度の濃い映画です。

彼女が統治した時代はイギリスがどんどん成り上がり、平和な時代でもあったのでその優秀な王がどんな人だったのかがわかり歴史好きにはたまらない映画です。そしてエリザベス1世を演じるケイト・ブランシェットが美しすぎてカッケー!ついていきます!!ってなります。

アカデミー賞もメイクスタイリング賞で取ってますから、とにかく衣装や映像が美しくて…エリザベス1世はドレスやカツラで自分をアイコンにした人でも有名ですから、それが再現されていて映画サイコー!と思えます。イエイ!

ふたりの女王 メアリーとエリザベス

時系列としては先程の映画エリザベスとほぼ同時期の話です。そのエリザベス1世と、スコットランドの女王メアリーの2人を軸にした映画です。

スコットランドはイングランドの上にある国ですね。今となってはイギリスといえばイングランド!スコットランドなんて超小さい国じゃん!と思うかもしれませんが、当時はスコットランドとイングランドは同等の強さで、何度も戦争を繰り返してます。そこで女王になったメアリーはエリザベス1世のいとこでした。実は血筋的にはイングランドの王様にもなれる人です。そのためエリザベス1世は正統な王ではない、私が王様だ!となり対立していきます。

エリザベス1世は若く美しく恋もできるメアリーに嫉妬心を抱いたり、その2人の対比が面白い映画です。そして共通点は女性であるということ。この頃に女性が王になること自体がすごいことで、2人の女王のかっこよさや儚さにしびれます。キャリアを取るか結婚や出産を取るかみたいな葛藤がぐっとくるんですよね。

あと個人的にはスコットランドの王宮の文化が垣間見れて面白かったです。あと主演のシアーシャローナンの笑顔が可愛すぎる!好き!もっと笑ってー!となりました。

エリザベス:ゴールデンエイジ

これは2つ前の映画エリザベスの続編です。こちらもアカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞していて、とにかくドレスや建物や風景や主演のケイト・ブランシェットが素晴らしくて眼福です。

エリザベス1世が女王として君臨していく中で、先程のスコットランド女王メアリーとの対立やスペインとの仲違いと最終的に戦争になるくだりを描いてます。その戦争であるアルマダの海戦の後の肖像画が、展示会でメインを張っているものですね。これを見に行くなら必ず見てほしい映画です!しかし映画としては前作の方が評価が高いので、肖像画関係なく面白い映画が観たいな〜という方は前作からどうぞ。

そして補足ですが、王様の物語を見ていく上で議会との関わりにも注目してみてください。イギリスの歴史で特徴的なのは、他ヨーロッパと比べると「議会が強い」という点なんです。

ヘンリー8世もエリザベス1世も、議会と割と良い関係を築いた王様でした。この後どんどん王様の力が強くなっていって、他ヨーロッパの各国は議会の言う事なんて知らない!と言って議会が閉じられていくんですね。

でもイギリスでは議会が続いていきます。というか、エリザベス1世の後には議会の言う事を聞かない王様が出てくるんですが、議会の方もそれに抵抗していく(ピューリタン革命や名誉革命が起こる)ので、結果的に議会の権利が明確になっていきます。そのあたりも念頭に置きながら、ここまでの映画を見てもらえると王以外の登場人物も面白く見られるのかなと思います。

女王陛下のお気に入り

王宮で、女同士が女王陛下に気に入られようと戦うドロドロの話です。男女ではなく女性同士の愛憎劇ですね。コメディらしいんですが、コメディ…?ブラックコメディですね。ちょっとセクシャルなというか下ネタが入ったようなブラックユーモアが散りばめられている映画です。主演のエマ・ストーンがいい味出してます。

時の女王はアン女王です。アン女王は17回妊娠したが子供が産めなかったというエピソードがあり、流産や死産、若くして亡くなってしまうなどを経験した悲劇の女王です。そのせいもあって精神を病み、酒で健康を害したりするのですが、映画の中ではその不安定な様子もしっかり描かれています。ここまでご紹介した映画ではどれも気丈な女王を描いている作品だったので、そういう女王の姿が見られる映画は貴重なのではないでしょうか。

そして、当時の服装や髪形がわかるのも面白いなと思います。フランスのロココ調のイメージがあるフワフワのかつらを男性がみんなつけていて、イギリスでもかつら流行りだったんだなーということがわかって面白いです。がっつり化粧してたりね。そのかつらの男性たちは議会のメンバーなんですが、議会のシーンがたくさん描かれているのもこの映画の見どころかと思います。ちょうど歴史的にはこのあたりから2つの政党が切磋琢磨し力をつけていくので、その雰囲気が見られますね。

ちなみにアン女王が亡くなってから、子供がいなかったのでドイツからジョージ1世をつれてきて王様にします。ドイツから来たこともあり、まず英語がわからなかったらしく政務を満足に行えませんでした。そこで「内閣」という仕組みができあがっていきます。

ヴィクトリア女王 最後の秘密

ヴィクトリア女王は在位期間がとっても長くて有名です(今在位しているエリザベス2世が最長、次がヴィクトリア女王です)。そして世界中に「ヴィクトリア」と名前のつく駅や公園や道がたくさんあるんですね。それは当時、日の沈まない国と言われるほどいろんなところに植民地を持っていたからです。そして、その中でも一番搾取していたのはインドではないでしょうか。インド帝国の女王も兼ねていたのがヴィクトリア女王です。

この映画は、そのインドの男性がヴィクトリア女王に気に入られてお付きになり、臣下としての信頼関係を結んでいくという話です。歴史映画というより、ヒューマンドラマ?友情物語?に近いような気がしますね。

インドの男性の手記が10年前くらいに発見されたらしく、一応事実はあったみたいです。どこまでが脚色かはわかりませんが、当時のイギリスでインド人が王宮に雇用されるという時点でわたしは結構驚きでした。映画の中でも出てきますが有色人種に対してのあたりが強い時代に、女王がインドの男性を気に入って仲良くしているという事実に感動しました。

そして、少し前の女王であるエリザベス1世との対比も勝手に感じて面白かったです(映画に描写があるわけではありませんが…)。エリザベス1世は結婚出産よりもキャリアを取ったようなイメージがあり、「国民全員が私の子供」「国と結婚した」という風に言っています。対してヴィクトリア女王は恋愛結婚で旦那さんのことがすごく好きで、先に亡くなられた後には長らく喪に服していた人です。そして子供も9人おり、世継ぎ問題とは無縁でした。ここまでのスキャンダラスな王宮物語は大体世継ぎの話ですからね…。日本の大奥的には「子供が多いと世継ぎが安泰」という認識だと思いますが、この頃のヨーロッパでは他国に子供を嫁がせて外交をしていました。ヴィクトリア女王もそうしています。

つまり、エリザベス1世とヴィクトリア女王はどちらも在位が長く平和な時代を築いたということで並んで紹介されることも多い女王ですが、結婚出産とキャリアという中では真逆と言ってもいいと思います。なので、ヴィクトリア女王の肖像画を見るとエリザベス1世についても思いを馳せてしまい感慨深い気持ちになるのでした…。

英国王のスピーチ

英国王のスピーチはアカデミー賞の主要4部門を取っているので観たことある方も多いんじゃないでしょうか。歴史映画というよりこちらもヒューマンドラマに近いので気楽に観られる映画なんじゃないかなと思います。

主人公はジョージ6世であるコリンファースです。それを、今で言う言語聴覚士としてサポートするジェフリーラッシュの友情物語ですね。言語聴覚士は、どもってしまったり嚥下や飲み込みに問題がある人を治療する専門職です。

どもることってそんなにダメ?と思うかもしれませんが、この当時王様はスピーチをする機会が結構ありました。第二次世界大戦の前後ですから、国民に向かって激励したり説明したりの公務があったんですね。国民は王様のスピーチを楽しみにしていましたし、今でもアメリカの選挙なんかはスピーチ命ですから、そういう国民性?もあると思います。ジョージ6世が吃音症だったというのは実話で結構有名な話ですね。その病気と闘う王様の姿が観られる映画です。

で、映画の中でジョージ6世の子供である女の子2人が出てくるんですが、それがエリザベス2世とマーガレット王女です。それが次の映画の主人公です。

ロイヤル・ナイト

エリザベス2世の映画です。私は全然期待せず観たんですが、本当に面白かったのですごくおススメです。(8本全部おすすめなのは間違いないんですが)

歴史映画ではなく、エリザベス2世が終戦の日に、お忍びで街に出てドタバタに巻き込まれるという話です。イギリス版ローマの休日と言われています。1つ前とリンクする、ジョージ6世がスピーチするシーンもあります!その他は全体的にフィクションですが、一応お忍びで外に出たことはあるらしい?です。

三谷幸喜的なコメディタッチでサクサク話が進む映画なので、歴史映画は重たくてちょっとな…という人にはぜひおすすめしたいです。頭からっぽにして観られます。

なぜなら、今回の展示会ではエリザベス2世がかなり取り上げられているので、この映画を観ることで楽しめる度は飛躍的に上がると思います。展示会の入り口入ったらまず大きなエリザベス2世の肖像画がお出迎えしてくれますし、ジョージ6世の写真でも若い頃のエリザベス2世が写ってます。

と、いうことで8本ご紹介させていただきました!終わります!!

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