美術館に初めて行くレベルの超初心者向けに、美術館の楽しみ方をご説明します。

デートで初めて美術館に行く方や、時間が開いたから寄って見ようかな、といった方に見ていただけると嬉しいです。

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この記事の内容は動画でもご紹介しています。前編9分・後編14分で見られます。

美術館の楽しみ方

①1番良かった作品を決める

展示会全体で、一番良かった作品を決めましょう。決めるつもりで見て回ることと、たくさんいいと思ったものがあったとしてもナンバーワンを決めきることが大切なのかなと思います。

私の場合は一番大きい絵が最終的に心に残ってる場合が多いんですが、それは大きいものが好きだから…美術を見る上でそれでいいのかって基準ですけど、はじめはそういう理由でいいと思います。「よくわからなかったなあ」よりも、色が好きとか雰囲気が好きとか何かしらの理由をつけてナンバーワン作品を決めましょう。

誰かと参戦していたら言い合うと面白いです。

②買いたい作品を決める

次に、買いたい作品です。これは本当にお金を出すならという気持ちの話です。ですがとてもじゃないですけど本当に買える金額ではないので…例えば、コピーのレプリカを家で飾るならどれがいいかなあとかそういう話ですね。キャンバスでなく紙のポスターでも数千円~数万円はするので、そのお金を払う気持ちで見てみてください。

家に飾るとなると、いくら裸の宗教画をすごいなと思っても、家のインテリアには合わないな~とかそういう見方をするようになります。そうすると抽象画とか風景画とかの方がしっくりくる感じがするんですよね(私の家がザ賃貸だからかもしれません。大きな一軒家だとラファエロの絵とかでも馴染むのかも?)。美容院に置いてそうな現代美術作品とか、おしゃれな印象で素敵だなとか。①で挙げた「1番好き」とは全然違った選び方ができるので試してみてください。

③描きたい作品を決める

描きたい作品は、絵を描くのが苦手な人は想像しにくいのかなとは思うんですが…「描く」という視点は全く違う絵画の見方ができるのでおすすめです。

モネの睡蓮なんか、青や緑をただ置いただけではあの絵にはならないので、どうやって塗ってるのか・どこから塗ってるのかなどを注力して見るようになります。いきなり白いキャンバスを渡されて「はいじゃあモネの睡蓮を模写してみてください」って言われた気持ちになって見てみるということですね。

水の中の表現や、輪郭のぼかし、筆遣いなど…どうやったら再現できるのか、一度考えてみてください。

「これなら描けそうだな」という視点でもいいと思います。でも、ベタ塗りしてあるだけに見える抽象絵画でも、真っすぐな線に見えて手書きしていたりとか(輪郭線をじっとみていると微妙に歪んでいることに気が付いたりします)、簡単そうに見えて本気で模写したら超大変ってこともあると思います。しっかり吟味してみてください。

美術館全体の楽しみ方として、まずこの3点をあげました。当然「全部同じ作品!」でもいいです。

絵を見る楽しみ方

次に、絵ひとつひとつを見るときにこの視点で見ると面白いよーという話です。

①骨格を見る

人は、絵を見るときに、線が引いてあったり輪郭や境界線になっている「線」を目で追ってしまうものらしいんですね。腕や足、木材やテーブルの一辺でもそうです。その性質をわかりやすく利用したのが漫画の集中線だと思います。

その性質を、おそらく画家は無意識的に使って見る人の視線を誘導しているところがあると思います。それを探して、絵画を最初に見た時にどういう目の動きを自分がしているのか意識してみてください。それによって、絵画の骨格が見えてきます。

指をさしている絵とかわかりやすいとおもいます。指している人から入っていって、その先にあるメインの「見せたいもの」に誘導している。そしてその先にまた繋がるものがあるはずです。なるべく長い間、絵に視線を留めて貰えるように画家が工夫しているはずだからです。

骨格を意識して見ると、「なんかこの絵いいな~」という感想に「○○だからすごい」という理由がついて、自分の中の納得感に繋がります。この積み重ねで「美術館で絵を見るのが楽しい」に発展していくと思うので、ぜひ意識してみてください。

②バランスを見る

次に、バランスを見ることです。例えば空や窓が描いてある作品って、最終的にそこに視線が誘導されて「抜け」になるようにしている気がするんですよね。閉塞感がないようにして、全体のバランスを整える役目をしていることが多いです。

バランスの悪い絵って名画にならないと思うので(わざとの場合もありますけど)、メインの人間が右に寄っていたら左で何かしらバランスをとっているはずです。それを探してみてください。

③筆を見る

筆圧や、筆の濃さ、筆の跡を見てみてください。絵具を薄く伸ばして何層にも重ねている絵と、濃くぼてっと置いて1mmくらい盛り上がらせている絵と、受ける印象は全く違います。ただ単色で塗りつぶしたような絵でも、その筆使いを追って見ているといろんな工夫が見て取れます。ケバだっていて怖いような印象を与えていたり、丸い筆の運びで柔らかさを表現していたりですね。3Dで絵を見る感覚です。

これら3点を意識して絵を見ると、一つの絵に対して5分以上は見つめたくなります。いろんなことを絵の前で考察して、本物を隅々まで堪能してみてください。

宗教画の楽しみ方

絵画にはジャンルがあります。歴史画・静物画・風俗画…など様々ですが、今回は宗教画と肖像画と風景画についてご説明したいと思います。

宗教画は、西洋美術を見るならキリスト教が主だと思います。もし自分がキリスト教でなければ、よくわからなくてつまらないですよね。キリストはわかるけど、マリアもギリわかるけど、ヨハネって誰…?もう誰が誰で何してる?って全部謎だったりして、予備知識がないとわからないのが難しいところだと思います。

でもそんな「理解できない」という気持ちが理解できるから、美術って面白いんだと思うんですよ。異文化交流というか。なので毛嫌いせずに、ちょっと見てみて貰いたいです。

①キリストの目線を見る

キリストと、マリアがセットで描かれている絵が結構あります。マリアはキリストのお母さんで、赤ちゃんのキリストを抱いている「聖母子」の絵なんかよく見ますね。で、この絵を見るときに注目していただきたいのがキリストの目線です。マリアとキリストが見つめ合っていたとしても、キリストの方が目線が若干上になっている場合が多いです。もしくはマリアが下に目を伏せていたり。

これは、構図的にはマリアの方が身体が大きいので「マリアの方が偉い・すごい」という絵になってしまわないよう、キリストは目線だったり悟っている表情だったりで威厳を示しているわけです。キリストが示しているというよりそうやって画家が描いているんですね。そこらへん、どうやってキリストへのリスペクトを示しているのかを考えながら見ると面白いです。

②エピソードを妄想する

キリスト教の旧約聖書・新約聖書では、知らないエピソードがたくさん絵画に取り入れられています。それが私たち(キリスト教じゃない人)には全くわからないと。でも西洋人にとっては「桃太郎」みたいなもので、「あーこの画家は桃太郎をマッチョに描いてるんだな」とか考えて面白さを感じてるはずなんですよ。羨ましい~~~!

そしてこれってキリスト教だけでなく、ギリシャ神話やダンテの神曲やシェイクスピアとか全部そうですね。元ネタ知ってないと何がなんだかわからないと。

でもそんなわからない時には、ある程度妄想することで結構楽しめます。「日本で言ったら桃太郎みたいな話なのかな?」とか「大きなカブみたいに皆で力を合わせましょうみたいな話なのかな?」とか。想像力をマックスで使って、絵にストーリーをつけるとするとこれだ!みたいなことを考えると面白いです。

もしもで言うと、バロック時代(ルネサンスの後)は、キリスト教のカトリックが人を集めるために教会の天井に「まるで天国」のような絵を描いて、見る人も絵の中に入り込んだ気持ちになれるような演出をしていました。イリュージョン的とか言います。

それって現代で言う4D映画というか、IMAX的だと思うんですよね。臨場感を出すための演出ですから。見る人を楽しませて改宗させちゃおうっていうね。そういう風に「現代で言うと映画みたいに見てたのかな」とか「ギャグ漫画的な立ち位置だったのかな」とか妄想するのも面白いです。

肖像画の楽しみ方

次に、全く知らない人の肖像画をどう見ていくかお話しします。

①似ている人を考える

本当に人にドヤ顔で教えるようなことではないんですが…似ている人を考えるの面白いです。さま~ずの大竹さんに似てるなとか、バナナマンの設楽さんに似てるなとか。阿部寛めちゃくちゃいるなとか。小雪っぽーい!とか。結構これだけで楽しい。

②付属物を観察する

肖像画はまず、洋服や首飾りなど身に着けているものを見てみてください。変なものを持っていたりしたら意味がある場合が多いです。当時魔除けに使われていたとか、富の象徴だったりとか。そしてその人だけでなく手元にある壺や花、敷物、背景のカーテンなどなど、いろんな部分に意味があったりします。もちろんただのオブジェで全く意味がなかったりもするんですけどね。後で検索したら結構答え合わせできるので、顔だけでなくそういった部分にも目を向けてみると面白いと思います。

エリザベス一世の肖像画なんかでは、モロ戦争に勝ったぞ的なことを表してます。窓の外とか。見てみてください。

③実物を想像する

描かれた時代にもよるんですけど、大体飾られている肖像画って権力者が多いので、実物よりも盛って描かれていることが多い気がします。それを想像するのも結構楽しいですね。偉そうに見せてるとか、強そうに見せてるとかそういう印象操作を考えるのも楽しいです。逆にそんなにイケメンに描かれていなかったら、そういう主義だったのかなとか好感持てるなあとかですね。

風景画の楽しみ方

合う音楽を探す

私はあんまり音楽に詳しくないので、懐メロ系しか浮かんでこないんですが…もし音楽好きな方でしたら、絵を見ていたら「この絵にはこの曲だ」みたいなのが浮かぶと思います。東山魁夷さんの絵はご本人が「モーツァルトの何番をイメージした」と言っている絵もありますし、画家が意図しているパターンもあるようです。

「もしこの絵のこの部分に自分がいたとしたら、この曲をかけたいな」とか。そういう妄想って風景画をだけじゃなくっていろんなジャンルで楽しめます。風俗画も映画っぽくてサントラ考えたりできますし、抽象画は飾ってある家でこの曲かけたいなとか…それでコーヒー飲みたいなとか。視覚だけでなく聴覚も支配できると絵の前でトべるので…!おすすめです。

その他

①音声ガイドを借りる

補足ですが、音声ガイドを借りることは基本なのかなと思います。ひとりで美術館に行って解説を聞くのもいいですが、人と行くときは時にいいのかなと思います。美術館って話にくいのに、人と行くと妄想ワールドに入り続けるわけにもいかないので、解説を聞いてその感想とか言い合う楽しみ方の方がおすすめできるのかなーと思います。充実度は必ず高くなるサービスなので是非。

②メモを取る

次に、白黒の目録を必ず貰ってください。配ってなくて置いてあるだけのところもあるんですけど、貰うようにしましょう。そして鉛筆を用意するか、入り口の人に言うと必ず貸して貰えるので借りましょう!!この絵いいなーと思って丸を付けたりとか、なぜ?とか色いい!とか描くだけで全然充実度が違います。あとから見返してググれますし。何十作品も絵を見て覚えていられるはずがないので、メモを取るのは大切だなあと思います。

③ショップで何か買う

最後に、私はショップで必ず買い物をすることを心がけてます。ぜんっぜんいるもの売ってないんですが、それでもクリアファイルとかポストカードとか何かしら戦利品をゲットします。

なぜならですね、ショップを真剣に見るにはやっぱり「何か買わなければ」というプレッシャーが必要だからです。ポストカードも、メイン所の10枚が選ばれて売られているので「えっこの作品入ってる、人気なんだ」とか思えるのが楽しいですし、面白いアイディア商品があったり企画展の国のお土産が売ってたりで真剣に見ると結構見応えがあるんですよ。ショップ。なので、買う気がなくても『必ず何か買う』と決めていくことをおすすめします!

以上、初心者のための美術館の楽しみ方でした。どれかのアイディアが参考になったら嬉しいです。

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